県:灌漑用水を畜産に 活用へ、国と協議−−全国初 /宮崎
更新日付
08/28/2009
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県は、整備中の灌漑(かんがい)施設を流れる未利用水を畜産に利用できるよう国と協議を始めた。水の有効活用につながる上、畜産農家にとっては水道水より安価で調達できる利点がある。ただ、灌漑用水を目的外の畜産に使用するのは法令上の問題があるため、今後国と協議して解決する。制度設計ができれば全国初の取り組みとなる。
県内では現在五つの灌漑整備を実施している。灌漑は国営事業のダム・幹線水路整備と、国庫補助で県が実施するパイプライン敷設の2本立てで10年以上かかる。県は整備終了までの長期間、灌漑用水が使われないことに着目。周辺畜産農家に、畜舎清掃や夏場の家畜冷却に使う水として供給しようと企画した。
問題は国の制度。河川法上、灌漑用に取得した水利権の一部を畜産に使うのは目的外使用に当たる。この点について国と協議した結果、新たに畜産用水利権として申請すれば対応可能との回答を得た。また、煩雑な取得手続きについても国は「申請書類を簡素化して審査を迅速化する」と説明している。
畜産への使用が認可されれば、農家は安価な水を豊富に調達でき、畜舎も清潔になって生産性の向上も見込まれる。県は、こうした影響で27億6000万円の経済効果があると試算している。毎日新聞